毎年約7,000頭の馬が競走馬として生産されています。
そんな競走馬たちがどのような生涯を送るのか、皆さんは知っていますか。
競走生活を終えた馬がその後どう生きるのか。
引退馬として過ごすとはどういうことか。
その現状をぜひ知ってください。
引退競走馬(サラブレッド)の一生
馬は生まれてから長くて30年生きます。しかし、競走馬として活躍するのは長くて7~8年。競走生活を引退してからは、多くの馬が“次の馬生”に進むことができないという現実があります。
引退馬の行き先について考える
今から20年以上前、私たちが引退馬支援の活動を始めた頃は、競走馬や乗馬の行き先について尋ねたり、消息がわからなくなった馬を追いかけたりすることは、馬業界のタブーとされていました。
多くの馬が用途変更となり、馬生を全うできないという事実。人の手によって走るために生産されたサラブレッドは、人の生活を支える経済のため、楽しみのために生きる存在です。
“そのことに目を背けてはいけない。転用となる馬がいるからこそ、馬の生産は経済として成り立っている。しかし、できるなら生かしたい、1頭でも多くの馬の命をつなぎたい“……この思いを大切にして、引退馬協会は今日まで活動を続けてきました。
セカンドキャリアやサードキャリア、馬たちの“次の馬生”を決めるのは、我々人間です。情報社会が進み、近年ようやく、引退馬の行き先について知りたい、考えたいという声を日常で耳にするようになりました。馬のライフサイクルを考えるなかで、引退馬は大きな存在となります。次のキャリアを探す馬がいて、その馬のことを思い、必要とする人をつなげること、たくさんの人たちとともに馬生を支えていくことは、社会のしくみとして今後さらに求められるものと私たちは考えています。
求められる引退馬支援の広がり
1頭でも多くの馬が安心して歳を取り、幸せな馬生を過ごせるように、「引退馬として余生を過ごせる馬を増やす」ことと「乗馬などのセカンドキャリアへ進む馬を増やす」ことが必要だ、と私たちは考えています。
引退馬として余生を過ごせる
馬を増やす
セカンドキャリアへ進む
馬を増やす
引退馬協会では、そのための取り組みとして「フォスターペアレント」「再就職プログラム」など様々な取り組みを行っています。
フォスターペアレント
引退馬協会が所有する引退馬を「フォスターホース」と称し、会費、寄付、助成金収入など、多くの人で支え合うことにより、馬を安定した環境の中で終生繋養する制度です。
再就職支援プログラム
引退競走馬の 「再就職支援プログラム」。引退した競走馬に対して人とおだやかに暮らすための馴致調教を行うプログラムです。
私たちが目指したいこと
馬と人、お互いが身近で
かけがえのない存在に
それぞれが馬を思う気持ちを強く持ち、いつも馬の近くで過ごしたいと思うこと。
そして馬が生活できる場所と、馬を扱うことができる人を増やすことも大切です。
引退馬の支援を通じて、かけがえのない馬とのくらしを実現できるよう、引退馬協会はこれからも活動していきます。