ホーストラスト訪問記／移動から4ヵ月後のF放牧地を訪ねました

11月16日、当会沼田代表理事と加藤専務理事が鹿児島へ向かいました。16日未明、1年ぶりに桜島が噴火し4400mの噴煙を観測、予定していた鹿児島空港への便が運行中止となり、急遽ルートを変えての鹿児島入りとなりました。

翌17日朝、ホーストラストを訪ねました。天候は曇り。移動中、遠くに見える桜島はもくもくと噴煙を上げていましたが、ホーストラスト周辺はいつもどおりの風景に見えました。桜島よりも近い位置に新燃岳（活火山。2025年6月、7年ぶりに噴火）があり、地面は火山灰土に覆われています。地面は水分を含むと真っ黒の泥土になります。

小西英司理事長のご案内で、各放牧地の見回りに動向させていただきました。
現在、ホーストラストでは引退馬協会の会員の皆様で余生を支えるフォスターホース10頭と、対外支援事業の引退馬ネットが支援するサポートホース7頭が生活しています。朝飼いの時間に近かったこともあり、それぞれの放牧地では馬たちがつなぎ場に整列して、飼い葉の到着を待つ姿が見られました。

【ホーストラストで生活する引退馬協会関連馬】
フォスターホース…ハーモニィチトセチャン、コッチャン、ハーモニィフラ、サマーナイトシティ、ハギノハイブリッド、トリップオブラブ、ドリームスイーブル、マイネルミシシッピ、タッチペガサス、ジェネラルグラント
サポートホース…チェリーサウンド、シャーベットトーン、レモン、パイン、マイティドリーム、ティティ、スターバックス
F放牧地では、ハギノハイブリッド、ドリームスイーブル、チェリーサウンドが繋養されています。

7月にJ放牧地から19頭が移動したF放牧地に向かいます。ここはゲートから入ってすぐ右に水飲み場があり、その奥に杭が立てられ、つなぎ場となっています。どの放牧地でも馬たちは自分の場所がわかっていて、給餌の時間に戻り、杭に沿って並びます。この日、F放牧地を訪ねたとき、馬たちはすでにつなぎ場のあたりにいました。

一番奥にいたのが、群れのボス、ハギノハイブリッドと仲良しのリッカギムレットー。そのすぐ近くにハリウッドがいました。みんな冬毛が伸びてきています。11月中旬になってからの気温は最高16〜22℃、最低6〜10℃、11月後半には最低気温1〜2℃とどんどん寒くなっていきます。馬たちはこの時期にしっかり食べて、冬の寒さに備えて体をつくることが必要です。

水飲み場の近辺の地面は茶色。気温の低下とともに青い牧草が少なくなり、地面は茶色を帯びる時期ですが、笹や雑草をすべて刈り、整地して新たに牧草の種を撒いたこの放牧地では、とくに草の少なさが目立ちました。
ホーストラストでは、冬季は乾草牧草を与え、撒き餌を充実されていますが、この放牧地では本格的な冬を前に、すでに冬同様の対応をしている状況です。青草が茂る理想的な状態になるまでには5年はかかるとのこと、しばらくは草が少ない状態が続くと思われます。

7月、この放牧地へ移動してきたときは19頭の群れでしたが、その後、消耗が大きかった馬はほかの放牧地へ移り、いまは16頭になっています。馬たちの健康状態は良好でみんなおだやかな表情でしたが、年齢的なこともあるのか一部は少し痩せたようにも見えました。
放牧地の急な移動の影響は少なくはないと思われます。それでもF放牧地の馬たちは、どの馬も眼に力があり、霧島の大地をしっかりと踏みしめて歩き、仲間たちと仲良く過ごしていました。ここが彼ら、馬たちの生きる場所なのです。そして、その環境を守るのは、私たち人間の役割です。

馬たちの生活環境を維持するのは容易なことではないと、あらためて感じました。
ホーストラストの小西理事長、スタッフの皆さま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

F放牧地のようすは今後も報告していきたいと思っています。

【J放牧地からF放牧地へ。7月、移動3週間後のようす】
2025年8月6日　ホーストラスト訪問記／移動後のF放牧地を訪ねました　https://rha.or.jp/topics/from-rha/f_report.html