サチノスイーティー
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※今春、熊本県と十勝地方(帯広市・清水町)で馬インフルエンザの発生が確認されました。幸いにして日高・胆振地方での発生は確認されず、競走馬のふるさと案内所が要請していた「牧場見学の自粛」も8月1日に解除されました。今後も感染防止に留意しながら取材を進めていきます。引き続き、牧場見学時の感染防止対策にご協力をお願いいたします。
全国的なニュースになりご存じの方も多いと思いますが、フォスターホースのサチノスイーティー(22歳)が暮らす白老町のホースフレンドファーム(HFF)は10月1日の豪雨により大きな被害を受けました。
幸いにして30頭の飼養馬、6名のスタッフは無事で、現在は支援団体、日高胆振の牧場、ボランティア、ネットを介した競馬ファンの力を借りながら、復旧に向けて動き出しています。今月のレポートでは当日の様子に加え、工藤代表に伺った今後の再建へ向けての意気込みなどをお伝えします。
ヴァイオレットラブの遺影が設置されたベンチの足の部分まで水没したそうです。しかし遺影の高さまでは浸水しませんでした。
牧場の被害は甚大ですが、人馬ともに無事でした。空の上から、ヴァイオレットラブが守ってくれたのでしょう。
10月1日、HFFのある白老町社台の北側に位置する白老町森野地区を1時間に124mm、午前中の6時間で327mmの観測史上最大の豪雨が襲いました。
「当日は朝から遠方で雷の音が聞こえたり、白老町から注意報が出ていたりと天気が崩れることは予想していましたが、HFFではそれほど激しい雨は降っていませんでした。少頭数の短時間放牧でもさせてあげようと順番に放牧、この時は2頭が放牧に出ていました(食事が遅いサチノスイーティーは馬房に居ました)」。
毎月のレポートをご覧の方はご存じかと思いますが、HFFでは(敷地の中では)高い位置に厩舎があり、右手の奥行350mほどの牝馬の大放牧地、雑木林を挟んで左側に牡馬(セン馬)の大放牧地という配置になっています。
「厩舎作業をしていた8時半ごろ、外を見ると大放牧地の奥から水が上がって来ているのが見えました。厩舎前のパドックもくるぶしほど水に漬かっていたので、急いで2頭を収牧したところで、社台川が氾濫し、文字通り堰を切ったように濁流が襲って来ました。
牧場を創設して24年、過去に二度ほど放牧地が水に浸かったことがありますが、「これは酷いことになるかもしれない」と判断。背の低い(脚が短い)ポニー3頭は馬房では溺死する可能性もあるので厩舎の裏にある、最も高台にある放牧地に避難しました。
厩舎の扉を閉め、残りは全頭馬房に退避しましたが、低い放牧地で60cmほど、厩舎は30cmほどが浸水しました。扉を突き破るように水が流れ込み、飼い葉桶や馬具、掃除道具などが厩舎の裏側から流されました。怖かったのは馬房に敷く20kgほどもあるゴムマットが簡単に流されてしまったことです」と当時の恐怖を振り返ります。
浸水のピークは2時間ほど、午後になると少しずつ水位が下がり15時過ぎには水の流れも止まりましたが、HFFを襲った甚大な被害が徐々に明らかになります。
HFFは国道36号線から砂利道を3.0kmほど進んだ場所にありますが(途中に社台牧場が見えます)、砂利道が崩落して通行止めになり“陸の孤島”に。さらに施設の電気施設がショートしたのか厩舎の一部は翌朝まで停電。工藤代表は生きているコンセントから給電しながら、心配の連絡を入れて来る知人や行政への対応を行ない、不安な夜を過ごしたそうです。
「翌朝になり被害状況を確認しましたが、ほとんどの牧柵が流されてしまったのが大ダメージ。現在はロープで仮柵を設置、ボランティアにご協力いただきパドックをパイプ管で補修して短時間放牧できるようになりました。厩舎は保険で何とかなりそうですが、厩舎外の小屋やコンテナは自力で補修(片付ける)しかありません。
ミニショベルは故障してしまいましたが、オンボロ軽トラックは水に漬かりながらも動いているので助かっています。馬運車に被害があれば大きな痛手でしたが、たまたま車検に出していたので難を逃れました。ボランティアのご協力をいただきながら、10月3日には厩舎の泥を撤去することができました」と工藤代表は振り返ります。
当日の夜に一般社団法人馬のねがい様と引退馬協会から飼い葉桶や水桶が届いたのを皮切りに、翌日以降は日高・胆振の牧場から飼い葉や無口などの支援物資が届いています。馬のねがい様では『【蹄鉄しめ縄】引退馬と人の想いをつなぐ〜午年に届ける幸せを願うプロジェクト』としてクラウドファンディングを実施中ですが、今回の寄附金の用途をHFFへの復興支援を優先に考えていただけるとのことです。ありがとうございます。
また、苫小牧のノーザンホースパークや新冠町のノーザンレイクでは募金箱を設置して支援を募っています。HFFでは女性スタッフが中心で流された備品やがれきを泥から掘り出すのも一苦労だが、ボランティアの申し出もあり力仕事に助かっているとのことです。
「飼養する30頭と牧場スタッフに被害がなかったのは不幸中の幸い。(増水のピーク時は)昼ごはんの時間でしたが、膝まで水に漬かりながらも大人しく耐えてくれました。厩舎には消毒も行なっていますが、今後は脚元の傷腫れやストレスによる皮膚病などを注意しながらケアしていきます。
来年で創業25周年というタイミングで大きな試練になりましたが、多くの方々から暖かいご支援をいただき勇気がわいてきました。必ず復旧させますので今後ともご支援よろしくお願いいたします」と工藤代表は決意を話してくれました。
撮影のため、サチノスイーティーを短時間放牧していただきました。
[動画]水害に見舞われても穏やかに過ごす馬たち/サチノスイーティー
大放牧地の低い場所は水が溜まり池のようになっていて、カモたちが泳いでいます。時折、水面に波が立つのは遡上の途中に迷い込んだサケの姿(事情が事情だけに、行政からは捕獲の許可が出ているそうです)。
[動画]水害により出現した池で泳ぐ、カモの群れ/サチノスイーティー
放牧前にブラッシングして出かけて行ったサチノスイーティーは片面泥だらけになって挨拶に来ました。
「あらら、サッちゃん泥だらけにしちゃったの~」と微笑む工藤代表。HFFに穏やかな日が戻ることを願っています。
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【ホースフレンドファーム様の最新情報は公式Xにて】
https://x.com/horsefriendfarm
【ホースフレンドファーム寄附口座】
《振込先》
北海道銀行 白老支店 (しらおい)
(普)0601352
ホースフレンドファーム代表 秋田政司
《PayPay》
ID:reimu19
アカウント名:HorseFriendFarm2
【蹄鉄しめ縄】引退馬と人の想いをつなぐ〜午年に届ける幸せを願うプロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/883842/view
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【サチノスイーティー産駒】
サチノスイーティーは2012年〜2024年まで繁殖生活を送り10頭の産駒が誕生しています。
出世頭はJRA4勝を挙げオープン馬にもなったコンカラー(牡9歳 父ネオユニヴァース)がいます。アーススカイ(牡13歳)、ティーストーク(牝7歳)、ベルウッドワン(牡4歳)が現役。産駒の応援をよろしくお願いします。
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サチノスイーティーは公益社団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルの功労馬繋養支援事業の適用を受けています。見学についての詳細は以下をご参照ください。
功労馬|サチノスイーティー(旧「引退名馬」サイト)
https://www.meiba.jp/horses/view/2003106201#farms
引退馬協会会員の皆様には会報(『RHA通信』『フォスタホースリポート』でも見学情報をご案内しておりますので、ご確認ください。
サチノスイーティーの余生を支えてくださるフォスターペアレント(FP)会員を募集しています。
2025年10月10日現在(会員数・口数)
サチノスイーティー 10名 6口
サチノスイーティー フォスターホースになった経緯(プロフィールページ)
上記プロフィールページからFP会員へのお申し込みが可能です。
ご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
ホースフレンドファーム
・公式サイト https://horse-friend-farm.jimdosite.com/
・Instagram https://www.instagram.com/horse.friend.farm2000/
・X(旧Twitter) https://twitter.com/horsefriendfarm
・YouTube https://www.youtube.com/channel/UCxbURNtiW7ZR7aca4fN3x4A
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