新ひだか町の荒木牧場で余生を送るフォスターホースのフサイチバルドルですが、今月は悲しいお知らせからお伝えしなくてはなりません。
フサイチバルドルの隣の放牧地で余生を送っていた“大先輩”のブライアンズロマン(牡馬、32歳)が12月10日早朝、老衰のため亡くなりました。フサイチバルドルの近況報告からはテーマが外れてしまいますが、偉大なブライアンズロマンを追悼し、その戦績と馬生を少し振り返ってみます。
ブライアンズロマンは1991年6月2日生まれ。静内町の大典牧場さんの生産馬。三冠馬ナリタブライアンと同世代、ブライアンズタイムの初年度産駒として宇都宮競馬場でデビュー。現役時代は今はなき北関東競馬(宇都宮、足利、高崎)を中心に63戦43勝の成績を挙げ“栃木の怪物”と呼ばれてました。1998年に上山競馬場で行われた第1回さくらんぼ記念GⅢでは1番人気のワイルドブラスターや、武豊騎手鞍上のパリスナポレオンら中央馬相手に3馬身差をつけて優勝しました。
現役引退後は新冠町の太平洋ナショナルスタッドで種牡馬入りし5年間供用。2007年8月に種牡馬を引退する際、有志が「ブライアンズロマンの会」を結成。会の活動をサポートする引退馬ネット(引退馬協会の対外事業のひとつ)の仲介で荒木牧場で余生を送ることになりました。
それから16年…今年は35歳のナイスネイチャや、33歳のウイニングチケット、ケイウーマンらが相次いで亡くなり、32歳のこの世代が「引退馬繋養展示事業の助成を受ける最高齢の重賞勝ち馬」になり、1日違いの6月1日生まれのサクラエイコウオーと共に長寿を競っていましたが、12月8日頃から体調を崩し12月10日早朝に亡くなりました。
荒木牧場代表の荒木貴宏さんは「夏の猛暑も乗り切り、体調もよさそうにしていたので、来年も皆さんに元気な姿を見てもらいたかったのが心残りです。齢をとってもよく食べよく遊び、病気で長く苦しむこともなく(人で言えば)ピンピンコロリの大往生。会員様やファンに支えられ幸せな馬生だったと思います」と話していました。
祭壇には多くの献花や、届いたばかりの生牧草が供えられ“栃木の怪物”を偲んでいました。
ブライアンズロマンの馬房
たくさんの花と供物が届きました
荒木牧場の厩舎にて
左上からセキテイリュウオー、スキャン、ネーハイシーザー
トーシンブリザード、オリオンザサンクス
ブライアンズロマンもここに加わるのですね
フサイチバルドル
わずか半年の短い間でしたが、ブライアンズロマンと隣り合う放牧地で過ごしたフサイチバルドル。変わらず元気に過ごしています。
荒木さんいわく「バルドルは元々マイペースな馬。積極的にコミュニケーションをとるような馬じゃないので、精神的に堪えているような様子はありませんが、何となく(死を)察している雰囲気は伝わってきます」とのこと。
取材日はブライアンズロマンが亡くなった翌々日でしたが、空いた放牧地には1歳馬が放され、フサイチバルドルは(隣の馬はいつもと違うな?)と言った様子で隣の放牧地を眺めていました。
表情が少し寂しげにも見えます
この日は日高地方で今年最初の積雪がありました。
引退馬協会がプレゼントした新しい馬服をまとっていましたが、新雪に浮かれたのかゴロゴロと寝返りを打ち、早くも馬服を汚していました。
雪上をゴロゴロ! 楽しそうです
[動画]フサイチバルドル 新雪にゴロンゴロン
まだまだ根雪にはなりませんが、気温も下がり、いよいよ本格的な冬に入ります。
雪と戯れるバルドル
[動画]フサイチバルドル 雪を掘る
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見学について
見学には予約が必要です。会員のみなさまは会報をご覧いただき、3日前までにご予約ください。
一般見学の方の申込みについては、競走馬のふるさと案内所でご確認をお願いします。
見学の際には、必ず最初に牧場の方に声をかけ、指示に従ってください。
フサイチバルドルの【FP会員】募集中です
地方重賞を勝ち、競走馬引退後は馬術競技でも長く活躍したフサイチバルドルは
「ナイスネイチャ・35歳のバースデードネーション」対象馬として
引退馬協会のフォスターホースとなりました。
フサイチバルドルの余生を支えてくださる
フォスターペアレント(FP)会員を募集しております。
みなさまのご支援をよろしくお願い申し上げます。
2023年12月22日現在
フサイチバルドル 会員数:2名 口数:1.5口 残口数:78.5口
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「35歳のバースデードネーション」
ナイスネイチャの誕生日に合わせて、引退馬支援のご寄付を募る「ナイスネイチャ・バースデードネーション」を今年も行いました。
フサイチバルドルは、この対象馬第1号としてフォスターホースとなりました。
たくさんのあたたかなご支援をありがとうございました。