この度、競走生活を引退したバンダムテスコとルックトゥワイスを引退馬協会のフォスターホースとして迎えることになりました。
2017年4月4日生まれ セン馬 父・フェノーメノ 母・ヴェリタラブ
大竹正博厩舎所属のテスコは、調教中の事故で、不幸にも視力を失い全盲となり競走馬としてデビューすることは叶いませんでした。
生産牧場から育成牧場へ移動したテスコはとてもやんちゃでした。噛む、蹴るはもちろん、あるときは走路で暴れて走路脇の崖から転げ落ちることもあり、早々に去勢手術をされてセン馬になりましたが、競走馬になることそのものも危ぶまれました。
そして失明するきっかけとなる事故が起こります。調教の際に暴れてひっくり返って頭を打ち、その時から失明してしまいました。視力を失ったことで、それまでは反抗するばかりだったテスコは一転して人を頼るようになりました。
馬主さん、大竹調教師、ともに大変心を痛めました。大竹調教師は、馬を扱う人間として何かできることがあるのではないかと考え、馬主さんからテスコを譲り受けます。調べるうちに、全盲で馬生を送っている馬もいることがわかりました。大竹調教師は競走馬としてデビューさせてあげることのできなくなったテスコを生かす方法を模索します。
育成場では目の見えなくなったテスコを献身的に世話してくれていますが、いつまでもいられるわけではありません。引退馬協会に預かってくれる施設について相談がありました。当初は預託先を探す上で何か協力ができれば、と考えておりましたが、テスコがひっそりと人知れず馬生を送るより、全盲の馬がどのように馬生を過ごすことができるか、どのように人間と関係を構築していくか、フォスターホースならずっとその記録を残せると考え、大竹調教師に提案をしました。
視力を失ったテスコは、不安からかとてもおとなしくなりましたが、今また少しうるさくなってきています。今しばらく、慣れた育成場での環境下で、グランドワークにおける第一人者である持田裕之氏の協力のもと、まずはトレーニングをしてみることになりました。
プロフィールはこちらからご覧ください。→バンダムテスコ
2013年4月2日生まれ セン馬 父・ステイゴールド 母・エスユーエフシー(IRE)
ルックトゥワイスは2013年4月2日に北海道安平町の追分ファームで生まれ、飯塚知一氏が落札して栗東・藤原英昭厩舎に入厩。気性面に問題があったことから育成牧場では2歳半になるまでの期間を要し、3歳になった2月に競走馬としてデビューしました。
以来、大きく崩れることのない好成績を残し、5歳の秋からは重賞戦線に参戦。6歳になった2019年の春、父ステイゴールドが悲願の重賞初制覇を遂げたのと同じ目黒記念(GII)で、従来のレコードを1秒3更新する勝ち時計2分28秒2の日本レコードを叩き出し、自身唯一となる重賞勝ちを収めました。
そして同年11月のジャパンカップ(GI)を最後に翌2020年2月に引退。
オーナーの飯塚氏は日頃から競走馬の引退後に思いを寄せ、ご自身でも所有馬を乗馬としてセカンドキャリアへと繋げてこられましたが、育成時から気性が荒かったルックトゥワイスは馬術競技には向いていないということから、引退馬協会へご相談がありました。
引退馬協会と飯塚氏は、飯塚氏が代表を務める「引退馬の余生を考える会」で新潟や福島で一緒に写真展を開催したご縁があります。飯塚氏の「ルックトゥワイスを大切にしてくださるところで、お役に立ててもらえるなら。」とのお気持ちを受け、ふれあい活動で使える馬として迎え入れることになりました。
引退馬協会では「馬と人のふれあい事業」を引退馬支援において大切な活動と考え、馬とのふれあいイベントやセミナーを行っています。ハリマブライトが高齢になって乗るのが難しくなっていることもあり、ルックトゥワイスには今後、乗馬倶楽部イグレットでふれあいや引き馬などができる馬となれるように馴致をしていきます。
現在ルックトゥワイスは、JRA馬事公苑が東京オリンピックを控えて仮に使用している栃木県宇都宮市の施設でリフレッシュと去勢手術後のケアをしていただいています。
JRAでは引退馬のセカンドキャリア支援としてこうした施設を引退した競走馬の一時的な待機場所とすることを検討しており、ルックトゥワイスはそのテストケースとして無償で預かってくださっています。今回はお試しとしてですが、今後その方向も考えていると言うことで、引退馬協会としてはこれが実現する事を期待しています。
ルックトゥワイスは4月中旬に乗馬倶楽部イグレットに移動する予定です。
プロフィールはこちらからご覧ください。→ルックトゥワイス
バンダムテスコとルックトゥワイスのこれからの馬生を支えてくださるフォスターペアレント会員を募集します。
フォスターホースとして新たな馬生を歩むルックトゥワイスとバンダムテスコを一緒に見守り、ご支援をいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。