ナイスゴールド
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渡辺牧場さんから近況報告が届きました。ナイスゴールド(27歳)、モアザンベスト(23歳)、10月に沖田忠幸牧場から移動してきたエアリカコ(26歳)とミラキュラス(23歳)、4頭のフォスターホースのようすをお伝えします。
* * *
11月から引き続き荒れた天気の日が多いです。12月4日と12日は真冬日でした。4日には3〜4cmの積雪がありましたが、すぐに解けました。12日の最低気温はマイナス7℃で風も強く吹き、今のところ今季で一番寒い日でした。
12月8日夜の地震は、浦河は震度5弱でしたが、大きな横揺れが長く続き、厩舎のバケツの水もこぼれるくらいでした。馬たちは揺れている間は驚いてそわそわ落ち着かない様子でしたが、揺れが収まると間もなく落ち着いていました。
ナイスゴールドは舎飼いの時間が長くなると馬房での食欲が落ちます。できるだけ放牧できる時間帯は放牧するようにしていますが、12月11日は風雨が強く朝から一日じゅう舎飼いになりました。また、お昼頃から雨になり収牧が早くなった日も何度かありました。そうなると長時間の舎飼いになり、食欲が落ち気味でした。


少しでも食欲がわくように、食べてほしい飼い葉の残りにいくらかハーボール(ハーブを原料とした馬用のおやつ)をふりかけると、少し食べ進めてくれました。乾草はよく食べていました。
放牧地ではよく食べてくれるので、朝放牧した後の他、お昼にも飼い葉を作り、カットしてある乾草と一緒に置いておくと完食しています。
とマキヒメ(藤色) 12月13日_r.jpg)
放牧仲間のマキヒメはいつも放牧すると駆けて行きますが、ナイスゴールドはゆっくり歩いて行きます。会員様が来られた時にちょうど馬房に帰るタイミングと重なったことがあり、ナイスゴールドを曳いていただくこともありました。


13日に来られた会員様にはハーボールを食べさせていただいた後、ナイスゴールドが会員様の上着の袖をしきりに舐め続けていました。会員様のお母様の頭にも口元をつけたまま、じっとしていました。お母様はナイスゴールドとのふれあいをとても喜んでくださっていました。

モアちゃんは朝の放牧時に外が明るいというだけで「イケイケスイッチ」が普通の馬の3コ分くらい押され、特に舎飼い明けなどは物凄い勢いで突き進むので制するのが大変です。現在のモアちゃんの馬房は本厩舎の出入口の一番手前ですので、真っ先に放牧する時に他の馬たちにうらやましがられながら厩舎の廊下を通り抜けて放牧地に行くことになります。


この時のうらやましがり方の一番激しいのが斜め向かいの馬房の30歳キゼンラックで、モアちゃんが目の前を通り過ぎる時に「ヒィィッッッ!!!」と大きな声をあげながら馬房の中を跳びながらクルッと一回転します。これでモアちゃんの「イケイケスイッチ」は更に5コくらい押されてしまい、モアちゃんは廊下にいる段階から狂ってしまいます。
その様子を見て興奮が伝播したバイラー(ヴィエントバイラー)がバタバタしながらモアちゃんの後ろからついて行くと、モアちゃんの「イケイケスイッチ」は更に2コ押されて、合計10コ分の興奮度で放牧地に向かいます。

そこで、ラックの馬房の裏戸の上半分の戸をあらかじめ開けておくことにしました。するとラックはモアちゃんが通り過ぎる時も外の景色を見ることに夢中になり、モアちゃんの「イケイケスイッチ」に影響しなくなりました。
更にバイラーを馬房から出すタイミングをモアちゃんが本厩舎から出て見えなくなってからにすると、バイラーも興奮が抑えられ、モアちゃんのスイッチにも影響しなくなりました。

一旦、放牧地に出るとモアちゃんは猫みたいにおとなしくなります。(ちなみに真夏は暑さ対策で暗い時間から放牧するため、モアちゃんは神妙な面持ちで大人しく歩いてくれていました)

この1ヵ月間、リカコについて大きな出来事がいくつもありました。
[1]先月お伝えしていた血液検査結果は異状なしとのことでした。
[2]リカコの体重は11月1日に461kg。11月16日に471kgで歩き方も良くなってきていましたが、11月下旬になってまた斜めになって歩くようになりました。前の牧場さんにいた時も斜めの度合いがきつくなったり良くなったりを繰り返していたとお聞きしましたが、私たちはリカコが倒れてしまうのではないかと、とても心配しました。
いつもお願いしている東洋医学の獣医師さんが出張中であったことと、12月初め頃に牧場スタッフのAさんが帰省中だったこともあり、[4]で後述しますがリカコのような凄い馬を高齢化した主人と私が鍼治療で抑える自信がなかったため、12月9日を待って診察していただくことになりました。すると、治療日を待っている間にもリカコはより馬体が増え(12月11日には486kg)、次第にまたまっすぐに近い姿勢で歩けるようになってきました。
12月9日に東洋医学の獣医師さんが来てくださった時にはかなり良化しており、歩様検査と触診検査の結果、治療はしなくてよいことになりました。それでもまだ、もう少し筋肉を付けた方がいいとのアドバイスを受け、飼養管理をがんばっていこうと思っています。

[3]11月23日に左の鼻の穴から鼻血が出ていました。前の牧場さんにいた時は2年ほど前に一度、左から鼻血が出たことがあったそうです。
この日、リカコの会員様が来られ、放牧地で話しながらリカコを見ていると、私たちの目の前でリカコはどこにもぶつけていないのに自然と再び左の鼻の穴から鼻血を出しました。
翌日も左から鼻血を出していました。獣医師さんが3日間、止血剤を注射してくださり、その間は鼻血は出ませんでしたが、注射をやめるとまた鼻血が出ました。

例えば鎮静剤をかけて検査して、検査の結果、治療することになったとしても手術になるため、リカコのこの後肢や体力では耐えられないか、その場は持ちこたえても全体に弱らせてしまう可能性が高いと考えました。年齢と体力を考えあわせて検査を受けることは控え、心当たりのある市販薬を使わせていただくことにしました。

その後は左の穴からの鼻血は一度も出なくなりました。ただ、2回、右から鼻血を出して、「希望を持っていた市販薬も効果がなかったのか…」と愕然となりながらお湯で出血痕を拭いてあげると、鼻の穴の下に1cmくらいの傷があり、右の鼻血については2回とも外傷とわかりホッとしました。
ぶつけたであろう柱の金属部分にゴム板を貼ってからは今のところ一度も右からも鼻血を出していません。

[4]リカコとミラキュラスは馬房や放牧地の出入りの時に飛び込んだり飛び出たりする癖があるとお聞きしていましたので、注意しながら出入りさせていました。
移動してきた当初に放牧していた近くの放牧地は狭くて草もほぼ食べ尽くしていたため、少しでも草丈の残っている奥の広い放牧地を簡易牧柵で50m四方くらいに仕切り、放牧するようになりました。
11月26日はAさんがお休みの日で、私がリカコを曳き、その後ろから主人がミラキュラスを曳いて歩いて、まだそんなに慣れていない奥の放牧地に行きました。

この日、リカコが飛び込むことに注意していたにもかかわらず、飛び込んだらリカコはそのまま走ってしまい、私は持ちきれなくて転倒してしまいました。曳き手(綱)の先っぽを握りしめたままでしたが踏まれてもいけないので諦めて手放しました。
すぐに主人がミラキュラスを放牧地の中に入れて馬せん棒を閉めてその位置で待っていると、リカコは少し走り回った後でミラキュラスのところに寄ってきたため、掴まえることができました。

翌日は背の高いAさんがリカコを曳き、私がミラキュラスを曳きましたが、やはり同じようにリカコが飛び込みダッシュしたため、Aさんも曳き手の端っこまで持っていかれ驚いていました。さすがAさんは転倒せずにそのままグイッと引っ張ってリカコを掴んだままでいることができました。
しかし、このままでは危険なので、またしばらく厩舎近くの狭い放牧地に放す日が続きました。その後はリカコには念のため曳き手(綱)の先にチェーンをつけて、口の中には入れないで鼻っ面にかけるだけの形で曳いて歩くようにしました。

そうこうしているうちに、リカコの鉄則と言える大事なことに気づきました。
「リカコはミラキュラスの後ろをついて歩くのであれば、飛び込まないし飛び出ない」ということです。
それからは馬房から出す時は焦らせないようにリカコを先に出し、厩舎の外に出たら「ミラキュラスの後ろをリカコがついていく形」を守るようにしました。放牧地から帰る時には必ずミラキュラスを先に出して、その後からリカコがついて来る形としました。こうすることで、人馬ともに安全に行き来することができるようになりました。ミラキュラスはリカコにとって無くてはならない存在です。
リカコは怖い顔をしながら人の背中に力強く顔をすりすりしてきます。ツンデレなんでしょうか…?(苦笑)
前回の近況報告で、ミラキュラスが移動してきた時から異常なほど元気がなく頭を下げた状態でサラブレッドらしさがないことをお伝えしました。
その後、血液検査の結果が出て、白血球の値が正常範囲よりも少なく、感染していることを表す数値が上がっていることがわかりました。白血球の値が上がっている場合は細菌感染だそうですが、下がっているのでウイルス感染の可能性があるとのことでした。しばらく注射と、その後は投薬をしていました。

また、同時にしていたクッシング病の血液検査の結果はグレーゾーンでした。もう少し大変な血液検査を受けると正確な結果がわかるのですが、白血球の値が正常になってから改めることになりました。


その後しばらく日を置いてから、白血球数を確認するため再度血液検査を受けたところ、12月11日に結果が出て、正常値になっていました。
頭を低く垂れることもなくなり、大人しくはありますが今の状態なら普通のサラブレッドに見えます。モアちゃんが放牧される時も他の馬たちと同様に声をあげて顔を出して見送ってくれています。


前回のご報告で書き忘れましたが、移動してきた当初からボロ(馬糞)が緩くて気になっていました。ウイルス感染(感冒)が治っても緩いボロは変わらないので投薬を始めています。
体重は11/1に598kg→11/16に591kg→12/11に583kgで順調にダイエットできています。穀類は与えずビートパルプにして乾草はしっかり食べています。


※要事前予約
※会員(全FP会員、一般会員、後援会員)のみ対象
会員見学(全FP会員、一般会員、後援会員) : 会員専用ページ、会報をご参照ください
一般見学 (賛同会員を含む) : 以下をご参照ください
渡辺牧場Twitter(@urakawawatanabe)
競走馬のふるさと案内所 渡辺牧場のページ
https://uma-furusato.com/search_farm/1344.html
渡辺牧場で生まれ、余生を過ごしたナイスネイチャの誕生日に合わせて引退馬支援のご寄付を募るドネーションを、今年も「ナイスネイチャ・メモリアルドネーション 2025」(NNMD2025)として開催いたしました。たくさんのご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
ナイスネイチャのドネーションで皆様からいただきましたご寄付はすべて、その年のテーマに合わせた引退馬支援に使わせていただきます。NNMD2025のテーマは、引退馬が次の馬生を目指すためのリトレーニングを行う「再就職支援プログラム」です。対象馬の入厩、調教も始まっています。
「ナイスネイチャ・メモリアルドネーション 2025」
開催期間:2025年4月16日 − 5月15日
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